43人が本棚に入れています
本棚に追加
第十二話▽新しい仲間は雷鳥元幹部⁉
柚紀さん達が来て一ヶ月した頃
礼君が知らない男の子を連れて来た。
「礼哉、そいつが誰か
わかってて連れてきたんだろうな?」
紬が怪訝そうな声色で言った。
皆の雰囲気からすると
よくない相手らしい。
「たりまえだろう。
それに、こいつは今、
向こうに行ってない」
本当に誰?
『あなたなら
連れて来ると思いましたよ(苦笑)
多分知らないであろう茉緒さんに。
彼は雷鳥の元幹部の晴山実稀ですよ』
ぇ⁉ 雷鳥⁉
あれ?
礼君は今は行ってないって言ったよね。
『あなた、雷鳥が嫌いなの?』
多分年上だけど、
タメ語になってしまった(苦笑)
「あの馬鹿に
雪花を追い出された娘か」
あたしの顔知らなかったのか?
『うん、そう』
話し方は今は置いておこう。
「“嫌い”なんじゃなくて“恨んでる”」
声のトーンが若干、低くくなった。
『理由を訊いても?』
「構わない。
理由はあんたが雪花を
追い出されたのと同じで
当時、雷鳥の姫は
俺の恋人の“水掛潤華”だった。
だがある日、雷加が
あの馬鹿を
連れて来て姫にしたことから
全て、狂い始めた……
ただ一つ違うのは
あんたが生きてるってことだ」
成る程、それで
“恨んでる”ってわけか。
『もう一つ聞いていい?
雷鳥にはあなた以外に
その娘の味方はいなかったわけ?』
だって、可笑しい……
今まで姫だったのに
彼以外、その娘を
信じる人がいなかったなんて。
「あの馬鹿が
上手く丸め込んだんだよ。
唯一、彼氏だった
俺だけは無理だと
わかっていたから
あえて何もしなかったんだろう」
雷鳥が単純なのか
総長が連れて来た女だから
信用したのか……
だけど、いくら総長が
連れて来たとは言え
“姫”だった娘をあっさり
裏切り者扱いできるか?
おっと、これは愚問だな。
あたしがそうだったんだから……
そりゃぁ、そんなとこに
何時までもいる義理はないよな。
『それは辛かったね。
副総長の侑君の恋人で姫の
表華茉緒里・二年、よろしく』
右手を出すと握手してくれた。
「こっちこそ、よろしく。
晴山実稀・三年だ。」
やっぱり年上だったか(苦笑)
『そういうことなら
あたしは反対しないから
此処にいるといいよ』
雷鳥から隠れるのにも丁度いい。
『そういうことだから皆もいいね?』
有無を言わさない
声色で倉庫中に響く声で言った。
イマイチ、納得がいかないような
表情(かお)をした下っ端達も
ちらほらいるけど大丈夫だろう。
『喧嘩もできるから
何かあったら言って』
雷鳥を潰すのが楽しみだな(ニヤリ)
「強いのか?」
訊いてくると思った。
『まぁ、雪花の幹部を
倒すくらいには♬*゜』
★━━━━━━━━━━━━━━★
実稀君は段々と慣れてきて
家にも帰らずに雨竜の倉庫に
寝泊まりすることが多くなった。
『最初に礼哉が実稀を
連れて来た時と百八十度
皆の態度が変わりましたね』
最初は納得いかないって
表情(かお)をしていた下っ端達も
一ヶ月もすれば仲よくなっていた。
雷鳥の幹部だっただけありかなり強い。
『だよね(笑)』
今では、実稀君に
喧嘩を教わってる
下っ端もいる(笑)
楽しみが増した(ニヤリ)
雨竜に実稀君いるって
知ったら動揺するかな?(笑)
裏切り者と罵るかな?
早く雷鳥を潰したいなぁ。
最初のコメントを投稿しよう!