第四話▽迎えと宣戦布告(笑)とお弁当

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第四話▽迎えと宣戦布告(笑)とお弁当

泉と琢海があたし側にいるのが アイツは気にくわないらしいけど 正直、どうでもいい。 あたしには雨竜の皆がいる。 ★━━━━━━━━━━━━━━★ 『茉緒さん、おはようございます』 翌日、外に出ると侑君がいた。 『え!? おはよう侑君』 何時からいたの? 『乗ってください』 昨日、送ってもらった時のように バイクの後ろに乗った。 学校に着くと騒がしかった。 理由は簡単。 あたしが侑君と “手を繋いで”歩いているから。 手を繋いだまま教室に着いた。 『ありがとう』 手を離して教室の中に入ろうとした時 廊下がひときわ騒がしくなった。 げっ、雪花の奴らが来た…… 二人はかなり距離を開けて歩いている。 そして、あたしを認めると アイツは怯えた“フリ”をして 真一に抱き着いた。 大根役者にしても酷すぎる 演技に馬鹿三人は騙されている。 「ぃゃ、何で……茉緒里ちゃんが……」 “茉緒里ちゃん”とかキモい。 「お前、まだ闇のこと イジメてるのかよ‼」 連陏、あんたソイツの顔見て見ろよ、 口元はしっかり笑ってるぞ。 『はぁ~ あなた達三人は馬鹿ですね』 あたししか視界に 入ってなかった(笑)雪花の三人は 隣にいる侑君に 気付いていなかったみたいだ。 「何で雨竜の副総長が 裏切り者といるの?」 幸歩も馬鹿だなぁ(ニヤリ) この台詞に倉庫にいる時は 穏和な侑君がキレた。 『“俺”達の姫を侮辱するなよ‼ 真実を知ろうともしない馬鹿共が……』 あたしの手をギュッと握り締めながら 馬鹿三人に怒鳴った。 『侑君、言葉遣いが崩れてるよ』 あたしの言葉で正気に戻った侑君。 『あまりにもムカつき過ぎて キレてしまいました(苦笑)』 あたしのために怒鳴ってくれて嬉しい。 自惚れかな?(笑) 「姫?」 真一が聞き返してきた。 『えぇ、茉緒さんは 私達雨竜の大事な姫です。 貴雨田さん・左巴さん 宜しければ、お昼一緒に如何ですか? 茉緒さんを信じて下さった お二人には感謝しています。』 馬鹿三人に怒鳴った時とは違い 優しい声色で少し 後ろにいる二人に話かけた。 「いいのか? 俺達は雪花だ」 琢海が戸惑うのもわかる。 あたし側にいるとはいえ 雪花の副総長と幹部。 そんな二人を雨竜の副総長の侑君は お昼ご飯に誘っている。 『お二人なら構いませんよ。 礼哉達も納得してくれるでしょう』 「わかりました、お昼はご一緒 させていただきます」 泉が答えた。 『よかった。 お昼は陸十が 迎えに来ますから 教室に居てくださいね』 『わかった』 漸く、落ち着き 侑君はあたしの手を離して 自分の教室へ行った。 ★━━━━━━━━━━━━━━★ 「茉緒ちゃん、迎えに来たよ」 四時間目のチャイムが鳴り 陸十が迎えに来てくれた。 『陸十*♬೨ 泉・琢海行こう』 雪花の四人は何も言わなかった。 陸十が連れて来たのは中庭。 『二人を連れて来たよ』 「お邪魔します」 泉が律儀に挨拶をした。 琢海はお辞儀だけした。 礼君と侑君は学年的には年上だもんね。 雨竜の倉庫じゃ 年関係なく皆タメ口だけど。 「沢山作って来たから 好きなだけ食べて」 陸十が紙袋から 沢山のおかずとおにぎりを取り出した。 取り皿と割りばしも忘れずに。 『陸十、毎日ありがとうな』 紬がおにぎり二個と 取り皿におかずを数種類取りながら 陸十にお礼を言った。 「別にお礼を言われる事じゃないって。 料理は好きだし、苦じゃないから」 二人の会話に泉と琢海は 目を見開いている。 幹部と下っ端。 年上と年下。 普通ならあり得ない光景だと思う。 『二人とも、何時まで呆けてるの? さっさと食べないと昼休み終わるよ』 パンっと手を叩くと 正気に戻った。 『仕方ありませよ、茉緒さん。 私達が特殊なんですから』 上下関係を重んじるのが普通だけど 総長の礼君が堅苦しいのは嫌いと言って 今の形になっている。 「雪花ではあり得ない光景ですね」 だろうね…… 真一は礼君と逆で 年下にタメ語で 話されるのを嫌っている。 「そういうことだ。 お前達も俺達に 敬語を使う必要はない」 「俺はこの話し方が デフォルトなのでご了承下さい」 泉は侑君と一緒で 敬語が基本だもんね(苦笑) 琢海も少し戸惑いながら頷いた。 そんな会話をしていると 目の前におかずとおにぎり二個が置かれた。 「茉緒ちゃんも食べないと 午後もたないよ」 陸十が置いてくれたらしい。 『ありがとうね』 「どういたしまして♬*゜ お二人もどうぞ」 気が利くなぁ。 「陸十さんは一年生ですよね?」 泉が陸十に訊いた。 「はい、一年です。 因みに下っ端です」 陸十の言葉に二人は再び目を見開いた。 そう、これも雪花ではあり得ないこと。 下っ端と総長や幹部達が 一緒にご飯を食べるという光景。 二人の驚き様に 雨竜の五人は大笑いしている。 こうして、楽しい昼休みが終わった。
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