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第六話▽繰り返された裏切り
『泉・琢海どうしたの!?』
闇が【雷鳥】の姫だと知った
翌日の昼休み、午前中来ていなかった
琢海と泉が怪我をしていた。
「昨日、久しぶりに倉庫に行ったんです。
それで、彼女が裏切り者だ
と言ったら
雪花を追い出されました」
はぁ~!?
あの馬鹿三人は
二人の話しすら聞かなかったと。
呆れて何も言えない。
『あたしのせいでごめん』
明らかににあたしのせいだよな……
「茉緒里のせいじゃないよ」
琢海……
「そうです。
茉緒里さんのせいではありません」
泉……
『ありがとう』
優しい二人を追い出すなんて赦さない‼
『では雨竜に入ってはどうでしょう?』
侑君が提案という名の勧誘をした。
「俺達は歓迎するぜ」
本当に雨竜の皆は優しくて暖かい。
礼君があたしを連れて来た時も
ちゃんと話を聞いてくれたし
噂が嘘だってわかってくれた。
「いいんですか?」
動揺するのはわかる。
あたし側にいたし
一緒にお昼ご飯も食べてたけど
昨日まで【雪花】の
副総長と幹部だった二人。
『幹部としてですがどうですか?』
主に泉に訊いてるんだと思う。
雪花では副総長だったから
幹部に格下げされることをどう思うか。
「雨竜に入れていただけるのでしたら
幹部でも下っ端でも構いませんよ。
あんな所の副総長を
しているよりよほどマシです」
馬鹿三人はアイツに夢中だからね。
「俺も入れてほしい」
琢海も答えたが出たみたい。
「じゃぁ、今日は倉庫で歓迎会だね」
陸十が張り切っている。
『なんでしたら、
今から倉庫に行きますか?』
何時も真面目な侑君まで
そんなことを言い出した。
まぁ、教室に居ても
面倒なだけだし。
前にも言ったけど、
担任は雪花の元副総長だから
追い出されたとはいえ
泉と琢海にも嫌悪を抱いてるだろうな。
『じゃぁ、ご飯食べたら倉庫に行こう』
中庭でお昼ご飯を食べた後、
それぞれのバイクに乗った。
あたしは侑君のバイクの後ろに乗った。
紬が連絡していたらしく
倉庫に着くと下っ端君達は
ほぼ揃っていた。
「貴雨田さんと
左巴さんですね
ようこそ、雨竜へ」
颯天がニコニコしながら道を開けた。
「皆、お二人がいらっしゃったぞ‼」
歓迎ムードに二人は
ポカーンとした顔をしている。
「俺達は昨日まで敵でしよね?」
『雨竜はね、一度心を許した人なら
例えさっきまで敵だったとしても
温かく迎え入れてくれるんだよ』
此処は本当に
暴走族の倉庫なのかと思うほど
和気あいあいしていて、仲良しで
上下関係なんて関係ない。
だけど、喧嘩をすると強い。
そうして、二人の歓迎会が
開かれた三ヶ月後、
あんなことが起こるとは
誰も予想していなかった……
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