1stラブ

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1stラブ

 二人は対峙していた。女と男だ。 空は淀んでいる。夜の公園。周りには人っ子一人いない。先程までの明るいBGMがぶつりと途切れた。何かが起こりそうな雰囲気がこちらまでダイレクトに伝わってくる。  突然、ゴウっと鳴った強い風が、女の金色で長い髪を持ち上げ、女の顔にかけた。女は荒ぶる髪を気にして直す様子はない。顔にかかった髪の間から見える女の顔はとても深刻そうだ。  一方男の方は、困ったように女を見つめているだけだ。どうすればいいのか分からない、と顔が訴えていた。 二回目の強い風が吹いた。さぁ来るぞ。 女はようやく口を開いた。 「もう終わりにしましょう。マシュー」  男の目が大きく開いた。手はわなわなと震え、顔面蒼白になる。男は必死に言った。 「ちょ、ちょっと待ってくれよ、マリッサ!なんでだ?さっきまで楽しく話していたじゃないか!」 「ごめんなさい。マシュー。貴方に今までとても良くしてもらったことは分かっているけど……。本当にごめんなさい。さようなら、マシュー」 男が何かを言う前に、女はくるりと身を翻して足早に去っていってしまう。男は女を追いかけることも出来ずに、ただただぼんやりと立っていた。 そして降り始めた雨が、悲しき男を無様に打ち…………
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