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新たな道
稗田もまた空を眺め考えていた。奥宮蓮と未藍の交際は予定外だった。
もとより、今回の“契約”では誰も政略結婚の犠牲になって欲しくなかった。この地に契約者たる人の王もすでに存在しない。天も地も人も納得できる新たな契約が必要になったのだ。
ーー考えろ、考えろ、考えろ。
これは『あちらから現れた』現象なのだ。きっと何か意味があるはずだ。
発見こそ次の扉を開く鍵。奥宮のお爺さんはそう言った。この事態を解決する方法は、光となって、ぼくたちの進む新たな道を照らしてくれるだろう。
だから、もっと考えろ。
それぞれの迷いとは裏腹に、秋の空はどこまでも澄みわたっていた。まるで『それでいいんだ』と言ってるみたいに。
ーー契約の日は、目前にせまっていた。
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