接点

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 目にする時間、接触する回数が多い人物ほど好きになるものらしい。売れっ子がより売れるのはそのためだろうか。  望実は大塚未藍を観察するうちに好感を持つようになっていた。    望実が思っているほど大塚未藍は“遊んでいる子”ではなかった。友達2人と放課後フラフラしているが、必ず早めに帰宅した。  道を尋ねられれば親切に教え、お店の店員にも礼儀正しい。  なぜそこまで観察するのか?望実自身よくわからない。罪悪感や謎に対する探究心だけでなく、彼女に惹きつけられた。大塚未藍は明るい女子高生に見えて、ふとした時に危うい表情をする。何かが不安定で気になるのだ。  観察を続けた数日後の朝、望実はまたを見かけた。朝から見かけるなんて尋常じゃない!  部活は毎日あるわけではない。なにか報告や連絡があるときに集まっている。  その日は部長と鈴木飛島班からの報告があり集まる日だった。  まずは稗田部長から話し始めた。 「大塚さんと同じ小学校だった人から話を聞けました。大塚さんのお母さんは4年前、隠里で行方不明になり、まだ見つかっていないそうです。  隠里は昔から神隠しが多発していました。もともと神話のような伝説が多く残る場所です。  いなくなった場所も日にちも気になります。この件に関しては、奥宮のお爺さんに聞いてみる必要がありそうです。」  続いて鈴木が報告した。家から自分のタブレットを持ち込んでいた。 「虫喰い現象を呟いた人は、この民宿のオーナーです。宿泊客の1人のスマホに虫喰いが現れたようです。」と言うと宿泊した客の写真が載ったブログを開いた。  望実はその写真の中に、あのキャップの男を見つけた。 「す、すみません!! 私もいいですか? そこに写っている男の人、何度か大塚さんをつけてました。たぶん間違いないです!」 「えっ!?」みんな驚いた表情だ。 「大塚さんが資料室に来た帰り、送って行くつもりだったんですけど……声をかけづらいので家までついて行ったんです。途中で倒れられても困るし。そうしたらも私と同じように大塚さんをつけていて、今朝も学校の近くで見かけました。」 「隠里の虫喰いと大塚さん、やはり繋がっているようですね。男の人が付け回しているとは嫌な予感がします。かと言って何も起きていないのに警察は動いてはくれないでしょう。」 「ほ、ぼ、ぼく離れて尾行します! ”契約”について何か分かるかもしれないし。」瓜田が立候補した。  瓜田の態度に今度は望実が驚いた。あんなに苦手だと言っていたのに?! 「男子部員で交代で見守りましょう。瓜田くん1人では大変です。無理する必要はありません。できる日だけでよいでしょう。」  と、稗田は交代でと提案したものの、主に瓜田が大塚未藍を見守ることになった。
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