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スクールカースト
飛島神社宮司の長男、飛島爽玄は高校1年になるとすぐ、スクールカーストの頂点に立った。
”逆らうと悪いことが起きる”
非科学的で客観性に欠ける噂だが、同じことが続くと皆んな信じてしまう。
とくに爽玄が神社の息子ということもあって信憑性があった。いじめでは? と先生に訴えた生徒はもう学校で見なくなった。
何かがあって学校に来なくなったという具体的な話がいっさい出てこない。飛島家に目をつけられる怖さはそこにある。
虫喰い現象が起こる前から、鈴木は飛島家の嫌がらせを受けていた。学校でちょくちょく物が無くなる。先生もグルと思うくらい理不尽なマイナス評価もされた。いつの間にか友達も周りから消えていた。
気にしないようにしていたが、小さな嫌がらせも続くと精神にくる。クラスで相手にしてくれるのは今やカースト最下位組だけだった。鈴木は最下位層に慣れていない。プライドが傷ついた。爽玄は鈴木のそういうところに目をつけたのだ。
鈴木の父親も会社で同じような目に遭っている。息子の前では言わないが母親には弱音を吐くようだ。自分だけならともかく父親まで……。
ある日、爽玄のとりまきの1人がやって来た。優しい口調で「オカルト研究部で、何やってるか教えて。」と無料SNSのグループアドレスを鈴木に渡した。
鈴木は素直に受け取った。
(全部話す必要はない)
(被害を少なくしながら、この状況から抜け出す方法を考えよう)
このことはオカルト研究部員には話せなかった。いじめられているなんて恥ずかしくて言えるはずがない。それに自分は、部の情報をこっそり渡している裏切り者なのだ。
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