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鈴木と奥宮
鈴木も2人の交際には反対の立場だった。
奥宮蓮は休み時間になると雨が降らないかぎり屋上にいる。鈴木は昼休み、屋上の蓮のもとに向かった。
「話がある。」
屋上の床に座って、ただ黙って空を見上げている蓮に声をかけた。横目でこちらを見て、また視線を空に戻した。蓮は話をする気がないようだ。
「おまえ、なんで大塚さんと付き合ってんだよ!!“契約”の話知ってんだろ? 相手はおまえじゃないんだよな? なんでそんなに自分勝手なことができるんだよ。周りのことも考えろよ!」
蓮は怒りをぶつけてくる鈴木のことを観察していた。
「鈴木がなぜ怒る? 1000年前の誰かが勝手にに決めた”契約”になぜ従う? 未藍も好きでもない相手とは結ばれたくないだろう。」
「”契約”が成立しないと、この土地は不安定なままなんだよ。天変地異も起こるかもしれない。それを止められるのはキミらだけなんだから、頼むよ。自分さえ良ければ他の人はどうなってもいいのかよ!」
「それがおまえの本音か。」
少しだけ表情が悲しそうだった。
奥宮蓮は、黙って屋上を出ていった。蓮が何を考えているのか鈴木にはさっぱり理解できなかった。ただ自分の怒りをぶつけただけで、事態は何も変わっていなかった。
(頼むから、もう終わりにしてくれ)
鈴木は、飛島家のいじめから早く解放されたかった。“契約”が終わったら部活も辞めるつもりだ。オカルト研究部に関わらなければ、他の人たちのように何も知らない高校生でいられたのだから。
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