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宿命の子
その日の放課後、蓮は未藍に“契約”について話をした。
2人で会うときは、人で騒がしい場所を避け静かな公園などを選んだ。
「俺たちが仲良くすると皆んな困るんだってな。皆んなのために俺の一生は縛られている。生まれてからずっとだ。双子のもう1人だってそうさ。未藍もそうだ。
なぜ俺たちに平和の責任を押しつける? 自分たちが勝手に争って、勝手に相手の顔色をうかがって苦しんでいるだけだろう。」
不思議と未藍には蓮の気持ちが伝わってくる。彼は自由になりたいんだ。空を軽やかに飛ぶイメージが頭に浮かんだ。
「人間界は生きづらい? 神様の世界なら自由に飛べる?」
「どっちでも一緒だ。神の世界では人の血が混ざったヤツは特別扱いさ。
神と人が共存するために生まれた、人間でも神でもないどこにも属せない生き物だ。」
未藍は蓮の左手を両手で温める。
「私には蓮がいてくれて良かった。1人だったら誰にも相談できなくて、壊れちゃいそうだよ。
ねぇ、駆け落ちしちゃう? 人間界でも神の世界でもない所に。」
蓮はちょっと笑った。
未藍にも伝わった。
駆け落ちして生きていける場所など、どこにもないのだと。
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