17人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
発見
ねむの木を出て、5人は足窪池に到着した。足窪池は坂下高校のすぐ目の前だ。
昨年の9月に池の水が干上がり、底から祠が見つかってニュースになった。いろんな人が調べたが資料も残っておらず、何のために池の底に祠があるのかは誰もわからなかった。
オカルト研究部顧問で地域史研究をしている滝川先生の調べによると、全国的には池の主(大蛇など)を封印している例はあるらしい。
足窪池は天の巨人さんの足跡という説ともう一つ、天の巨人さんが坂下町の盆地をつくった際、最後に土をすくった穴が足窪池。すくった土を運ぶ途中で落っことした土が飛島の山になったという説もある。
いずれにしろ足窪池の祠は謎のままだ。
現在、足窪池には水が張っていて祠は見えない。特に目新しいことはなかった。
学校の目の前にあり、いつでも来れる場所のため坂下駅前へと移動した。駅前のファーストフード店で休憩し午後から西の山を目指す。
食べ終える頃、鈴木から奥宮蓮の話がでた。
「今日も奥宮さんの家に蓮くんいませんでしたね。ぼくと蓮くんは2年2組で同じクラスになったんですけど、4月からまだ1日しか学校に来てなくて、登校した日にぼくから声をかけたんですよ。
『いつもお爺さんにお世話になってます』って。まー、完全に無視されましたね。お昼も1人ぼっちだったんで誘ったんですけど、鼻で笑われただけで。なかなか太々しい奴なんですよ。」
「ぼくも奥宮さんのマンションに初めて行ったときに見かけました。暗かったのですが屋上は301号室からしか登れないので、あれはおそらく蓮くんでしょう。烏を手なづけていました。彼はなかなか話しかけづらい人のようですね。」
稗田の話に瓜田が反応した。
「烏ですか……何かと鳥が登場しますね。天の巨人さんも羽がついていますし。」
黙って聞いていた望実が、マップを手に取ると食い入るように目を見開いて言った。
「こ、これ、これ…これって白鳥座ですよ!!!」
最初のコメントを投稿しよう!