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鳥の目
興奮を抑えられない望実は、マップを皆んなの前にひろげて指をさした。
「瓜田くんの言葉で気がつきました。鳥の目線になればいいんです。このマップの巨石遺跡を繋いでいくと、白鳥座になるんです!!」
望実はスマホで白鳥座を検索すると、マップと星座との角度を合わせて置いた。
「飛島神社がデネブ、足窪池がサドル、東と西の巨石が羽の部分にあたります。そして首に2つの石像……頭が雙星神社です。
白鳥座の頭の部分はオレンジと青の双子星でできています。これは星座に間違いありませんっっ!!」
望実の興奮した様子と目の前にある新事実に唖然とし、時が止まったように誰も動かなかった。
沈黙の後、稗田は口を開いた。
「鳥の目線。そうですね、鳥は人間の目とは違い、磁場や紫外線が見えると言います。遺跡傷つけ事件のときに巨石遺跡は紫外線で光ることがわかりました。
天から見ると、光る星座が地上に描かれていることになります。何かの目印または暗号とみて間違いないでしょう。もしかしたら契約の場所に関する事実が隠れているかもしれません。
そして……さらに推測すると、天と人との間に生まれた双子の1人が奥宮蓮かもしれないということです。」
稗田の推測に皆んな息を飲んだ。
ーー白猫の伝説によれば、蓮行と人との間に双子が生まれ、片方は地へ片方は天へと分かれたとある。
地の神を祀る雙星神社の神主、奥宮さんのところに双子の1人が居てもおかしくない。
「え、でも奥宮蓮はいま高校生ですよ、年齢が合わないんじゃないですか?」鈴木が質問した。
「異界と人間界では時間の流れが違うと言います。浦島太郎を思い出してみてください。竜宮城で数日過ごした太郎が村へ戻ると100年が経っていました。
奥宮のおじさんおばさんとの間に息子さんはいません。ぼくは子どもの頃会ったはずの息子さんの顔を全く覚えていませんでした。
隠里(御泊)で数回、誰かと遊んだ記憶はあったのですが、ずっと鍵がかかったように思い出せませんでした。それが今はっきりとわかりました。奥宮のおじさんおばさんと一緒にいた男の子は、ぼくよりだいぶ年上のお兄さんでした。顔は蓮くん、奥宮蓮くんでした。」
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