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土人形たちは、突然の大雨と洪水になすすべもなく、崩れ去っていった。聖弥が最後の雨を降らせた瞬間、横殴りの雨が、黒の竜たちを追い立てるように町中を襲い、山からは、濁流が流れ込んできた。それは、ある意味別の地獄だった。ゾンビたちはあっという間に水の流れに呑まれていった。かろうじて、自分の足で立っていたものも、竜たちの攻撃によって、あっけなく流されていった。それは、人間たちにとっても脅威だった。良きもの悪しきものにかかわらず、あらゆるものが浄化されていく。突然の洪水に犠牲となった断末魔も、家族を求めて泣き叫ぶ声も、ゾンビたちのうめき声も全てをかき消すほどの水が町中を洗っていった。
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