5人が本棚に入れています
本棚に追加
かつては沢山の客で賑わっていたこの通りは、今は閑散としている。
昔はやれ夏祭りだ、正月だと、用もないのにイベントを繰り返していた人々。
彼等は皆一様に老い、政府の方針や不況に耐えられず、閉じたシャッターを二度と開くことは無かった。
そのようなうらぶれた商店街の一店舗を、祖父から譲り受けた男。それが私の友人の滝堂である。
滝堂は、年中寝癖だらけの天然パーマを整えもせず、ジャージにアロハシャツで腹を掻いている。
この古ぼけた商店街を発展させる気も、店舗を売って僅かながらの金を得る気も更々無く、もっぱら妙な物を適当に仕入れて適当に売っていた。
最初のコメントを投稿しよう!