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店舗兼住居であるここは、店の奥に茶の間のような場所がある。さらにその奥には小さな台所、裏口、二階に階段と続いている。
彼はいつもそこで寝ていて、来客があるときにはそこから起き上がって応対するそうだ。
掃除も行き届いていないこの場所で、滝堂はよくもまあ寝れるものだ。
ブラウン管のテレビや、その上にかかったレースの編み物、小さな招き猫。
ここは、昭和の時代が、カビと埃の匂いと一緒に、そのまま閉じ込められている。
「まあ食えよ、俺の奢りだ」
滝堂は、ショーケースから青色の氷菓を二本取りだし、一本私に差し出した。
「この暑いのによくまあ来れたもんだよ友枝。仕事はどうしたんだ」
「なんだお前、政府の放送耳に入って無いのか」
「あいにく、午前中は忙しくてな」
滝堂は、アイスの袋を開きながら言う。
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