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「何が忙しいだよ馬鹿野郎、今日もな、『危険等級特Ⅰ』につき、職場も、学校も、区役所もみーんな封鎖。地下シェルターに皆さんお入り下さーいなんて言って、スピーカーやらテレビやら、朝から放送し回ってたんだよ」
「へーえ。で、友枝、お前は?」
「馬鹿言うな、俺が重度の閉所恐怖症なの知ってるだろ、今まで何回シェルター誘導から逃げ回ったと思ってるんだ」
ははは、と、滝堂が乾いた声で笑う。そういうところは、大学時代からまるで変わっていない。
「それじゃあ、これまでも外に居たんだな」
「おうよ、なかなか命懸けだが、まだ生きてるのに、棺桶みたいなところに知らない奴らと寿司詰めになってるよりずっといい」
俺は水色のソーダアイスにかぶり付いた。
滝堂はもう半分以上アイスを消費していた。
持っているアイスの棒から『ハズ』まで文字が見えていた。
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