『冷やしガバゴボラ、始めました』

「あ、当たりが出ても交換はしてやらないからな。あのアイス、業者が詰めに来てくれないから、俺がスーパーに買い出しに行ってんだ」

滝堂のその言葉に、私は笑ってしまった。

「いよいよこの店、趣味の道楽じゃねえか」

「そうだよ、俺が定価で買って、俺が定価で売ってる。電気代分赤字だな」

「どこが商売なんだよ、あ、商売と言えば」

「なんだ？」

「表の貼り紙、ありゃなんだ？　『冷やしガバゴボラ始めました』なんて、ふざけた貼り紙。まるで冷やし中華みたいに書きやがって。ガバゴボラが冷やせる訳無いだろう、あんな巨大なもん」

滝堂はニヤッと笑った。そして、

「いやいやそれがですね、お客さん。良いのが冷えてるんですよ」

そう言いながら、アイスの棒を噛み割った。