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頭上で、たてつづけに何本かの光の筋が走る。
カナタも、さすがに身の危険を感じた。
皆が口にしている祈りなどどうでもいい。
襲いくる稲妻から身を護ろうと、イツカの隠れている方へだっと駆け出す。
だが、すでに遅かった。
一本の光が、真っすぐカナタのいる方に向かって伸びてきた。
とたんに、すべての動きが凍りついた。
ひとつの瞬間が、永遠にひきのばされたかのようだ。
自分が蹴り飛ばした砂や小石が、じわじわ回転しながら、ゆっくりと目の前を舞っていく。
と思う間もなく、周りのすべてが真っ白な輝きに包まれた。
何も見えない。まるで白い闇だ。
むせるほどの雷気が周りをおおいつくす。
ところが、まったく何も見えないはずの視界の端で、何かが蠢くのがわかった。
白い闇よりさらに蒼白く輝く何かが、天頂からぬっと伸びてくる。
カナタは、むりやり首をねじ曲げた。
あれは……。
毛むくじゃらでたくましい、ニンゲンかサルのような何かの腕だ。
目の前の鉄塔よりも、はるかに長く、太い。
一本一本の毛はまるで針のように鋭くとがり、腕の内側から放たれる眩い光が、毛先から火花となって散っている。
あまりの巨大さに恐怖がいや増す。
掌が、おもむろにくわっと開かれた。
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