下駄箱と、ラブレターと

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 悪い顔のままの俺は下駄箱に辿り着いた。  彼女のクラスの下駄箱は並ぶ下駄箱の列の一番奥だ。  周りに人の気配はない。  勝利を確信した俺は足早に彼女の下駄箱に向かう。  ――その途中。  俺のクラスの下駄箱の前で、きょろきょろしている星井に出会った。 「…………」 「…………」  彼女と俺は目を合わせて固まった。  彼女の左手には白い封筒に赤いハートシールで封をした『ザ・ラブレター』が握られている。 「……くっ、謀ったな!」 「謀ってんのお前だろ!」  俺のツッコミを聞くよりも先に、彼女は自分の『ザ・ラブレター』を持って逃げていった。  全く同じ考えだったとは……。  策が割れた今、この方法で告白することに何の意味があるだろうか。これじゃ勝ったとは言えない。  俺は徐々に増えてきた生徒から隠すように、ラブレターをブレザーの内ポケットに入れてとぼとぼと教室に戻った。  教室に戻ると、洋介が。 「なあ分かったぞ。星井さんと会う前に地震が起こって屋上の扉が壊れて会えなかったんだろ。だから告白できなかったんだな! あれ、でも昨日地震なんかあったっけ。あとそれならお前はどうやって屋上から帰ってきたんだ。……まさか、飛び降りたのか?」  と神妙な声で話しかけてきた。  俺は無視した。  
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