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告白には勇気がいる。
そんなことわかっていると思っていた。
「…………すぅ」
風の音。鳥の声。階下の喧騒。どこかで流れる水の音。
普段聞こえないような音が聞こえるのは、多分緊張しているせいだ。
様々な春の音に耳を傾けながら俺は扉を見る。
その扉はまだじっと黙っていた。
「…………はぁぁ」
屋上の真ん中で俺は深呼吸を一つする。
うちの高校の屋上は、青春漫画に出てくるような広い青空を臨む大きなものじゃない。
水道や空調設備、使わなくなった植木鉢や三角コーンで埋め尽くされた、周りの景色なんてまるで見えないこじんまりとした屋上だ。
しかし今回この視界の悪さは好都合。
俺はこれから片想いの相手に告白するのだ。
相手はSNSで呼び出している。約束の時間まであと1分もない。
そう思った矢先「トントントン」という音が近づいてくる。
そして、音が止まったかと思えば。
ゆっくりと扉が開いた。
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