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「はぁ、ケーキ美味しかったね。せっかくだし、ちょっと見て回ろうよ」
星井はそう言ってショッピングモールを歩き出した。
本当に、俺たちは思考回路が同じなんだな。
前を歩く彼女を見ながら、改めてそう思った。
俺たちは少しウィンドウショッピングをして、屋上に出た。
このモールの屋上は木々が植えられた庭園になっており、ところどころに木のベンチが置かれている。緑の香りが辺りに漂う。
歩き疲れた星井は「あ、あそこ空いてるよ」と木陰のベンチに座った。
俺も隣に並んで座る。
「星井」
「ん?」
「これ、よかったら貰ってくれないか?」
俺がショルダーバッグの中から取り出したのは、白い封筒に赤いハートシールで封をした『ザ・ラブレター』だった。
以前、告白作戦に使うために用意したものだったが失敗し、捨てるに捨てられなかったものだ。
それを見た星井は「あはは」と笑う。
「……実はね、私もそれ持ってきたの」
「え、マジで」
「うん。はい、交換ね」
彼女はショルダーバッグから自分の”ザ・ラブレター”を取り出した。
「本当に俺たちは考えてることが一緒だな」
「うん、びっくりするくらい」
俺たちは笑いながらラブレターを交換する。
そして、それを折らないように大切に鞄にしまった。
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