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「おい尚人、昨日告白したんだろ? どうだった?」
帰りのホームルームで、反町洋介が声をかけてきた。いつものように天然パーマを自由に遊ばせながら、へらへらと笑っている。
洋介とは中学からの知り合いで、なぜか毎年クラスが一緒だった。
もちろん今年も一緒で、洋介は俺の後ろの席に座っているので距離的にも話しやすい。
それ以外にこれといった接点は無いし、いつから仲良くなったのかはっきりと憶えてはいないが、いつの間にか気兼ねなく話す仲となっていた。
部活を頑張っているわけでもなく、勉強ができるわけでもないが、ただなんだかいつも楽しそうにしている変なやつだ。
洋介には「星井に告白しようと思ってる」と告白の前日に話していた。
その時にはまだ呼び出しのメッセージを送ることもできていなかったのだが、そんな自分を追い込むために誰かに話したかったのもある。
「すげーじゃん」
洋介はそれだけ言った。
俺は思わず訊き返した。
「すごいか?」
「すげーよ。ぜひとも頑張ってくれたまえ」
「社長が部下に言うやつだろそれ」
「もしフラれたらカラオケ行ってオールナイト失恋ソング祭りしよーぜ」
「絶対いやだ」
何が楽しいのか、あははと笑いながら洋介は笑い、持っていたシャープペンシルを旗に見立てて振る。
「心から応援してる」
「ほんとかよ」
白々しいそのセリフに俺は笑った。
その応援のお陰なのか、他人に話したことによるプレッシャーのお陰なのかは分からないが、俺はなんとか星井にメッセージを送ることができたのだ。
そんな中学からの腐れ縁である洋介に、俺は昨日の結果を報告した。
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