下駄箱と、ラブレターと

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 古典的な方法だが、それは同時に告白の形式の一つとして確立しているとも言える。  例えばSNSのメッセージで告白したとしても、彼女は未読スルーができる。  ポップアップ等で内容を確認できたとしても「見てない」と言い張ることができるのだ。  アプリを起動させない限り、既読は付かない。    そんなことが現実に起きるとしたら、告白した側からすればこれ以上ない悲劇だが、そもそも対面での告白を止めてでも勝負に持ち込んだ彼女のことだ。十中八九そうなると見て間違いない。  しかし、この作戦なら。  下駄箱を開けたらラブレター。それは告白の代名詞。  この時点でもう告白は完了している。  手紙を捨てたり破ったとしても、それは告白を断った、ということになる。告白自体は無かったことにならない。  万が一「ラブレターだとは思わなかった」という言い逃れを防ぐために、白い封筒に赤いハートシールで封をした『ザ・ラブレター』を用意した。  これなら誰がどう見てもラブレターだ。その言い逃れは苦しくなる。  ……勝った。  くっくっく、と口の端から笑いが漏れる。  今の俺の顔は、誰の目から見てもこれからラブレターを贈りに行く者の顔ではないはずだ。
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