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「事前に確認されているとは思いますが、本当に手離してよろしいのですね」
「ああ、こんな可愛くないガキ、さっさと引き取ってくれ」
本日、訪ねてきた親は、子ども本人を前にして最低な言葉を平気で投げつける人物だった。
係りの女は仕事の一環だと割りきっていても、不快感が上ってくるのは止められなかった。
「では、こちらの説明に間違いがないか確認されたら、サインをお願いします」
タブレットを片手に、淡々とお決まりの案内をすれば、相手は人の話を最後まで聞かずに名前を書き込んだ。
「これでいいんだろ」
「……お疲れ様でした。以上で、手続きは終了となります」
「やれやれだな」
歪んだ顔で置いていく子どもを見下ろした来訪者は、口の端をいやらしく上げて出ていった。
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