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「・・・よかったな。そんな風に思える仕事に出逢えて。前の仕事の時辛そうだったし・・・あの頃俺、何もできなくてごめん。千咲は責任感強いからボロボロになって頑張ってたけど、もっと早く『そんな仕事辞めた方がいい。』って言うべきだったってずっと後悔してた。」
「ううん。優悟、あの時へろへろだった私とずっと一緒にいてくれたでしょ?旅行とかも私の都合に合わせてくれて・・・今思えば、優悟のお陰で私はギリギリ自分を保ててた。側にいてもらえるだけで支えられてたの。だから体や心が壊れてしまう前にあの会社を辞めることができたんだ。優悟は私の心のサポーターなの。」
「え?何?今耳ミュートにしてて聞こえなかった。」
優悟は嬉しそうに耳に繋いでいない方の手を当ててこちらに近づけてくる。
「聞こえてたくせに。」
「聞こえなかった。もう一回言って。」
「・・・優悟は私の心のサポーターだから、ずっと一緒にいてほしいって言ったの!」
「なんか言葉が追加されてるし・・・嬉しいけど。」
「もー、やっぱり聞こえてたんでしょ。何にやにやしてんの・・・。」
そう言って手を離そうとしたら逆に抱き寄せられてしまった。
「これからはお互い仕事のこととか、他のことももっとたくさん話そう。無理して話すことはないけど、話すと楽になることもあるし。」
「うん・・・。」
「・・・もし、将来仕事のことで後悔することになってもさ・・・。」
「うん?」
「王子や社長より俺のこと選んでくれたことは後悔しないように、そういう男になるから。」
「それは私もそうだよ。友野さんとか他の素敵な宝石女子より石ころの私を選んでくれたこと、優悟が後悔しないように頑張る・・・頑張ったところで石ころのままかもしれないけど。」
「俺は石ころ派だって言ったろ?」
優悟はそう言って私を抱きしめると優しくキスをしてくれた。
彼が眠りにつく時、私の夢を見ることはきっともうない。だってこれから先私が描く恋模様のお相手は彼自身だけなのだから。
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