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「ああああの、ありがたいのですが、本当にっ。」
彼は私の声など聞こえていないかのように私の足をそのまま自分の太ももに乗せた。タイツ越しに彼の太ももの感触を感じる。
───何!?何この状況!?私男の人を足置きにしてるんだけど!しかもこんな現実離れしたイケメンを・・・ひいぃ!バチが当たるよバチがっ!
「危ないから肩に掴まって。」
そう言って半分振り向いた横顔はまるでアプリで加工したかのように美しい。
「大丈夫です!本当に・・・おあっ!」
ときめきに追い詰められ彼の太ももから足を上げ、後ずさろうとした私は後ろに倒れそうになってしまった。
───あー、新年早々みっともない・・・。おみくじ凶だったしなぁ・・・。
そう思いつつ地球の引力により地面に吸い寄せられていった私だが、いつまで経っても地面に到達しない。あれ?時間が止まった?そう思うと目の前に王子の顔があった。
「危ない・・・。」
彼は片手で私の手を掴んでもう片方の手を私の背中に当てて、倒れないように支えてくれていた。なんだかいい香りがする。私よりずっと女子力が高いに違いない。
彼は私をまっすぐ立たせてくれると私の手を掴んだまま再びしゃがみ込みいつの間にか穴から救出してくれていた靴を足元に置いてくれた。
「どうぞ。」
「あ、ありがとうございます。」
靴を履く。さっきまで履いていたものなのになんだか急に特別な力を帯びたように感じる。羽が生えて空に飛んでいけるんじゃないだろうか。
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