Day 2:妖艷悪魔の下着を買いに!?

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私が派遣社員として働く映像関連会社のオフィスは都庁の近くにあるビジネスビルの複数のフロアを使っている。 このビルには郵便局や内科・歯科、美容院・理容院、クリーニング店などが入っていて、お昼には複数のお弁当屋さんがお弁当を販売し、カフェも複数ある。コンビニにはワイシャツやネクタイ、肌着や下着まで揃っていた。 お昼休み。いくつかのフロアには食事を持ち込んで食べられるカフェテリアがあって、このビルに入っている色々な会社の人達が食事をとっている。自分が勤める会社の人でも仕事で関係があるのは限られた人のみだから、自社の人か他社の人かもわからない。 私は一人の時は定番となっている20階のカフェテリアで窓際のカウンター席に座っていた。いつもは派遣仲間の人達と食事をするけれど今日は一人になりたい気分だった。一緒に食べたい時は一緒に一人の時は一人になれる、大人の付き合いだ。 なぜ一人になりたいのかと言うと、スマホのメッセージアプリに2日前に別れたばかりの優悟からひっきりなしにメッセージが送られてくるからだ。なんでも新年早々出張で福岡にいるのだが、暇で時間を持て余しているらしい。知らんよ、私に暇を押し付けてこないでおくれ。 福岡グルメやタワーなどの写真が送られてくる。本当はもっとあちこち観光したいのだが、思うように動けないらしい。仕事なんだから当たり前でしょ。ていうか充分満喫してるじゃん。 そもそも私達別れたと思うんだが。私の記憶が改ざんでもされているのだろうか?通知をオフにしてしまおうと思うが、縁を切った訳でもないし、もしかしたら大事な連絡がくるかもしれない、と思うとそうもいかない。 スマホのロック画面に繰り返し現れる通知とお知らせランプの光に苛立って勢いよく手帳型のスマホカバーを閉めてスマホを窓際に押しやる。するとその手がほとんど飲んでいないのにすっかり冷めてしまった紙コップのコーヒーに当たった。コップが倒れ白いテーブルの上にコーヒーが広がっていく。 コーヒーはみるみるうちに勢力を広げ、あろうことか隣の席に座っていた男性のスーツのパンツまで征服しにかかった。ライトグレーのパンツにダークブラウンの地図が描かれていく。
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