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「・・・千咲は、将来のこととか考える?仕事のことじゃなくて、自分が家庭を持つこととか。」
「えっ?家庭・・・?う、う~ん、まだわかんないかな。」
正直に答えると優悟は微笑みながら『そうだよな。』と言って立ち上がり、『露天風呂入ろ?風呂入りながら海見るの昨日から楽しみにしてたんだ。』と言って私の手をとった。
*****
「あぁ~景色最高だね!気持ちいい~。」
青い空、太陽を浴びてキラキラと輝く海。素晴らしい景色を改めて堪能する。ベッドで目が覚めた時はすぐに指輪に目がいってしまったしその後は熱い触れ合いに夢中になってしまい、景色を見る余裕がなかったのだ。
湯船に浮かべる花びらが用意されていたのでそれを入れたりアロマも焚いてみたりして、まるで二人だけの楽園にいるかのようだった。
「東京からすぐなのに海も空もすごく綺麗だね!あっちの方は森だし・・・優悟?」
優悟は景色ではなく私を見ていた。
「千咲が俺模様になってる。」
彼の視線をたどって自分の体を見ると、昨日から3回も熱く甘く体を重ね、彼に存分に愛された痕跡が体中に残っていた。恥ずかしさと嬉しさに襲われてどんな反応をすればいいのかわからないでいると、後ろからぎゅっと抱きしめられる。
「・・・なんか、昨日と今日とで今までの3年間の色々を超えちゃったよな・・・キスの回数とか、あれの濃厚さとか。」
「・・・うん、そうだね・・・ずっと忘れられない誕生日になったよ。植物園も宿も素敵だったし、プレゼントもすごく嬉しいし、優悟ともすごく・・・近づけたし。」
「千咲とここに来られるかわからなかったけど思いきって予約して良かったよ。」
「・・・もしも私が来なかったらどうするつもりだったの?」
「キャンセルするのは寂しいから、親に旅行をプレゼントしようと思ってた。」
「ご両親・・・鹿児島の?」
「うん。でも結局千咲と誕生日過ごすの諦めきれなくて旅行前日になっても親に連絡できなかったんだ・・・あのさ。」
優悟はそこで私の前に回ってきた。
「鹿児島に行かないか?千咲のこと、親に紹介したいんだ・・・それで、出来れば千咲の親にも挨拶したい。」
「え・・・。」
「今までの3年間を超えたのは触れ合いだけじゃなくて気持ちもだ。というか気持ちが超えたからああなった・・・つまり、俺は千咲と元に戻るんじゃなくて一歩先に進みたい。ただ一緒にいるだけじゃなくて将来のことも考えたいんだ。」
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