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「うをっ!?」
突然前につんのめりそうになり、とっさに両手を振り回してバランスをとる。エアでクロールしているみたいだ。
足元を見るとマンホールに開いている小さな穴にヒールが引っ掛かっている。こういう時、ドラマとかだと素敵な男性が『大丈夫ですか?』なんて助けに来てくれてそこから恋が始まっちゃったりするけれど、現実にはそんなことは・・・。
「大丈夫ですか?」
背後から甘いキャラメルボイスが耳に届き、『へ?』と間抜けな声を出して振り向くと王子がいた。それこそキャラメルみたいな色のサラサラの茶髪、二重で色素の薄いキラキラした瞳、肌は色白でつやつや・・・なんか美味しそう、と思ってしまった。
───綺麗・・・ハーフなのかな・・・?
見とれているうちに彼は私の前にしゃがみ込んだ。
「背中に掴まって足を僕の太ももの上に乗せてください。靴をとりますから。」
「え!?あ!?そ、そんな大丈夫です!普通に一人で靴脱いでとるので!」
「でもそうしたら貴方の足が汚れてしまいます。」
「大丈夫!片足でケンケンするから・・・。」
そう言っている間に彼の美しい手が私の足首を掴んで、穴にはまった靴から抜いた。足首に感じる彼の体温・・・恥ずかしくてそこから全身が赤くなってしまいそうだ。赤鬼か!?ってくらいに。
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