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私、朝倉ひなたの声が出なくなったのは、本当に突然の事だった。
「本当早くこの世から居なくなれば良いのに」
「二度と学校来るなっての」
虐めの標的になり、クラスの皆から無視されるようになった事がきっかけだ。
毎日暴言を吐かれ、酷い時は泥水をかけられ、私物をゴミ箱に捨てられ、楽しかったはずの学校生活が地獄のような日々へと変わった。
それでも、小さな頃からずっと仲良くしてきた幼馴染のちーちゃんだけは私を見放さないって信じていた。
だけど、信じても無駄だった。
「ちーちゃん、一緒に学校行こう?」
「もう、私に話しかけないでくれない?」
「え……」
「ひなたとはもう絶交するから、私」
「どう……して?」
「私も皆と一緒でひなたの事嫌いなのっ」
「そ、そっか……」
数ヶ月前までは友達に囲まれて普通の女子高生らしい生活が送れていたのが信じられないくらい学校が大嫌いなものへと変わった。
いじめられた理由は私が友達の好きな人から告白されてしまった事にあった。
ただ、私は友達の好きな先輩が私と同じ委員会で……協力して欲しいと頼まれたから先輩と関わっていただけで。
友達の恋を一切邪魔する気は無かった。私自身、一切アプローチなんかしていない。
だけど、不運にも彼から好意を持たれた事によって友達の好きな人に手を出す最低女と理不尽な噂が流された。
その友達自身クラスで一番リーダー格の女子なのもあり、彼女が私を嫌ってしまえば後は察しの通り。
クラスの皆が皆、私を除外しようとしてくるだけ。
だけど、幼馴染だったちーちゃんだけは私を見放さないでいてくれると思ったのに、世界は残酷だ。
「あーあ、誰かさんがいるせいでクラスの空気最悪なんですけどー」
「早く居なくなれば良いのに」
「千鶴もそう思うよねー? あんな子と縁切って正解って」
「う、うん」
いじめに遭ってから救いの手を差し伸べてくれる人は誰も居なかった。
教師も見て見ぬ振り。
自分では罰が当たるような真似をしたという認識はない。
だけど、容赦なく地獄のような日々は繰り返される。
両親には心配かけたくなくて伝えられず、我慢を繰り返していったからか……次第に私の身体に変化が訪れた。
過呼吸になる事がやたら増えて、学校に行くと思うと震えが止まらなくなる。
そして、最後には声を失ってしまった。
そうなった以上、話さないわけには行かず、両親に虐めがあった事実を知られてしまった。
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