君だから

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 あれから一週間、優斗からのメールはなかった。  土産のブルーベリージュースの味の感想さえもない。    やっぱり、気持ち悪がられているのか……  慎二は、携帯を、時折開いてはため息をついた。  着信音に反応して急いで見ると、全く関係のないダイレクトメールだった。    当然の結果だとわかっていても、受け入れられないのはこんなにも辛いものなのか。  カミングアウトして受け入れられなかった辛い体験を、雑誌などで読んで知っていたはずなのに、自分の身になると酷くこたえた。  思い入れのない相手ならともかく、大切な親友だから尚更、胸をえぐる。    いや、わずかながら、1パーセントくらいの望みがあったのかもしれない。親友として付き合っていた、自分が好きになった優斗ならわかってくれるという、かすかな期待。    所詮、優斗は、普通の人間だということなのだ。  慎二は、リュックに荷物を詰める手が止まり、長い息を吐いた。  優斗は悪くない。  これが一般なのだ。いくら、性的マイノリティーに寛大になりつつある時代といっても、受け入れられるには、人間はもっと進化しなければならないと自分的には思っている。    もっともっと、長い時間が必要なのだ。  もっと、長い時間が——  そう思うと、現状に、諦めがつく。  明日から写真部で、2泊3日の親睦会に行かなければならない。今までの自分なら、不参加にするところであるが、部長であるがゆえ、そういうわけにはいかない。  慎二は、淡々と、リュックに最小限の物を詰めた。    家にひとりいるよりは、どちらかというと逆に気晴らしになるかもと思う。  忙しくして、何かに夢中になれば、その間だけでは忘れていられる。   とにかく、時間がたてば…… 何とかなる。   今は、そう、それだけを信じるしかなかった。      
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