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エピローグ
お互いの気持ちを確かめ合って以来、慎二は、真剣に写真に向き合い、アマチュアコンクールに向けて腕を磨いている。
優斗の方は、もちろん、活躍は目まぐるしく、県大会で優勝するなど、エースの地位は不動だ。
恋というものは、不思議で、世界の全てが相手のことで一色、弱く、辛くもさせ、強く、幸せにもする。
あんなに、苦しい、辛いと思えた人生が、今では、好きな人に愛されるだけで何でもできる気がするのだ。
「シン、今日シン家寄っていい?」
「う、うん……」
昼休み、自販機の前で囁かれ、慎二は、かーっと頬に熱が昇り、耳たぶが火照る。
胸の奥が疼き、身体に艶かしく電流が走る。
それは、優斗がキスしたいという合図。二人だけの秘密だ。
互いに、忙しい中でも、二人だけの時間を一週間の中で必ず作るというのが、いつの間にか、暗黙の約束になっている。
でも、優斗がこんなにも情熱的で、積極的だとは付き合うまでは知らなかった。昨日もしたばかりなのに、留まるところを知らないかのよう。
嬉しいほど困る……とはこういうことを言うのだろう。
「ユ……ウ」
「シン……好きだよ……シン」
帰宅するなり、2階の部屋に上がってすぐに、唇を重ね合い、飢えたように吐息ごと絡め合う。階下から母が上がって来ないか気にしながらの口づけは、刺激的で、塞がれた唇から漏れるかすかな声が、互いの熱情をさらに激しさを増す。
優斗に何度も名を呼ばれ、胸の奥まで優斗でいっぱいになる。
もっと先へ……
行きたい衝動を、お互いを思いやる気持ちで抑えていた。
それは、二人がもう少し大人になってからでも遅くはない。もう心はひとつなのだから、慌てる必要なんてない。
ゆっくり、二人の愛を育んでいきたい。
お預けの方が、かえって、心の絆を高めてくれる気がする。
そして、その時期が来たら、優斗と体も全部ひとつになりたい——
「シン、明日、俺の家来る?」
「優斗の家行ったら、オオカミになるんだろっ!」
「バレたか……」
そうやって誘うふりして、悪戯っぽく慎二の心を探るマネをする優斗。
「シン可愛すぎ、もう一回」
「ユウ……」
自分も、本当は、いつまで我慢できるのか心配なのだけれど……
「ユウ、好き」
優斗……
君だから、好きになったんだ。
他の誰もじゃない。
辛い想いも、焦がれた胸も、あの夏の思い出とともに全てが懐かしい。
優斗の髪に指を絡ませる。
好きな人に、その気持ちを受け止めてもらえる幸せ。
慎二は、優斗の匂いごと唇の感触を体に刻んだ。
—————————————— 完 ———————————————
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【あとがき】
ベタですが、ハッピーエンドが一番!💓
高校生の恋を、純愛テイストで描きました。💑
エロが足りないと思われた方……すみません💦
それは、2人がもう少し大人になった続編まで、取っておこうと思います。😄
このたびは、最後まで、読んでいただきありがとうございました。
初めての長編を、ここまで書けるとは思っていませんでした。
これも、多くの方に読んでいただき、スターやコメントなどの励ましがあったからです。
本当に、ありがとうございました。^^
次回作の構想は全くないのですが、その際には、またどうぞよろしくお願いいたします。(^^)/
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