良かったらうちに来ない?

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(おれ、やりたい・・・・・・!)  真琴の持ち前の慎重さはどこか遠くに飛んでいった。 「い、いいんですか、本当に?」  真琴は上体をやや乗り出して言った。 「君さえ良ければ」 「お願いします! おれなんでもします」  なんでも、と復唱したあと、しばらくして鷹城は何故か悪戯を思いついた少年のような笑みを浮かべた。 「じゃあ、小説指南を引き受けるに当たって三つ条件をつけようか。そっちの方が面白いだろうから。一つ、今言ったように住み込みで働くこと。二つ、どんなに忙しくても読書の時間を確保し、その証拠として感想を書いた読書ノートを提出すること。三つ、毎晩十時に書斎に来ること。以上」  真琴は慌てて指を折りながら繰り返し口にする。 「住み込みで働くこと、読書ノートを出すこと、毎晩十時に書斎に来ること。――分かりました」 「守れるかな」 「約束します」 「契約成立だ」  鷹城が微笑して右手を差し出した。真琴はその手を握った。まるで天にも昇るような心地だった。  こんなとてつもないラッキーが訪れるなんて思ってみなかった。鷹城と偶然出会えただけでも驚きなのに、小説指南を快諾してくれて、さらに書生として下宿を許されるなんて、普通では考えられない。
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