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(官能小説家って、いったいどんな人だろう)
他人の関心が自分に向いているとはつゆ知らず、真琴はそんなことを考えていた。
官能小説とはいわゆるエッチなことがメインに書かれた小説だ。対象読者は主に中年男性で、キーワードは人妻や、SMや、義理の姉とかいったところだろう。
別に官能小説に偏見を持つわけではないが、これから向かう部屋の主人がまるまると太った不潔なオジサンだったらどうしよう、と真琴は思った。
もし派遣された家政夫が、自分のような地味な大学生でなく、官能小説に出てくるような美しい未亡人だったら、そのままいけないことをされてしまうかもしれない。
もし依頼主が変態で、男にまで手を出すような不届きな輩だったら――。
(・・・・・・って何考えてんだ、おれ)
そこまで考えて、真琴は自身の逞しい想像力につい苦笑した。
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