本人同士の納得

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(後でたっぷりって・・・・・・)  口を開こうとしたその時、火にかけっぱなしだった牛乳が沸騰し溢れる音がした。 「うわっ!」  真琴は慌てて火を止めた。摘まみが強火になっている。さっき焦っていたので弱火にするの忘れていたのだ。コンロは白い牛乳で汚れていた。 「すみませんっ、今すぐ新しいのをいれますので」 「早くしろよ」  鷹城は微笑するとくるりと背を向けてキッチンを出て行った。その大きな背中を見届けながら、真琴の心臓はなぜか落ち着かなかった。  その晩、約束の夜十時。真琴は鷹城の書斎の前に立っていた。  先に入っていいと言われたので風呂は済ませてある。昨日まで倉庫だった真琴の下宿部屋はあの後――ココアを鷹城に届けた後整理して、用意してあった布団を敷いた。条件の二つ目の読書ノートを新しく卸し、読み途中の推理小説の題名を書き込んだところで時間になったのだ。
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