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―――シュンペー、あのね、写真残ってた
しばらくして意を決した私はそのメッセージを送ってみた、瞬間。
メッセージアプリは息を吹き返したように今までの全てのメッセージをものの数秒で取り戻した。
私の送ったシュンペーへのメッセージの下には。
昨日のシュンペーからのメッセージ。
―――ごめんな、リンタロー……、俺があの日家まで送っていれば良かった……、ごめんな、本当に
その2日前は。
―――リンタロー、何してる?
更に遡ると。
―――昨日、楽しかった。また、どっか行こうな?
その前は、夏祭りの写真と共に、私が送った、あのさっきの写真。
―――これ、ヤバイ、絶対学校じゃ見せられねえや(笑)
二人で行った夏祭り、送ってくれるって言ったシュンペーの顔を恥ずかしくて見ていられなくて、大丈夫、またね、って別れてから。
帰りがけに返事とあの写真を送りながら能天気に歩いたっけ。
『俺、凜のことずっと好きだった』
シュンペーの目に魅入られてしまって目を閉じた瞬間の連写ショット。
写っていたのはシュンペーとの初めてのキス。
―――私もシュンペーが好きだよ
私の最新のメッセージが既読になった瞬間、電話が鳴る。
狭山 俊平、シュンペーからだ。
『……なんか、思い出した?』
「うん、なんか思い出したみたい」
キラキラでたいせつななにか。
一言もシュンペーの声を聞き逃さないようにあてていたスマホが濡れる。
「シュンペーに会いたい」
『うん、すぐ行く……、着いたら電話するから待ってて』
スマホの水滴と自分の顔をゴシゴシ拭って、窓の外を見た。
たいせつな人がもうすぐやって来るのをメロンネットを外しながら待って。
【完】
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