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制服を脱ぎ捨ててワンピースに袖を通しながらも机の上で充電を始めたスマホが気になって仕方ない。
手始めに電源を入れようとしたらウンともスンとも言わなかった、当たり前だ。
説明書にはまずは充電をしてください、と書かれていた。
充電しつつ説明書や注意書きに目を通す。
バックアップが全て取れているかどうかはお客様自信でお確かめください。
最初から100パーセントは保障できないと言っていたからそれは仕方ないとして。
アプリの暗証番号などの再設定が必要となるかもしれない、ということ。
まあまあ、それは仕方がない、多分どうにかなる、昔の私と今の私が同じなら心当たりのあるパスワードはたった一つ!
【0201rinrin】そう絶対やってはいけない誕生日と自分の名前の組み合わせだ!
充電30パーセント、そろそろいいですかね?
どうかこれがパンドラの箱ではありませんように!! とドキドキしながら電源を入れると。
立ち上げた初っ端から画面を開くパスワード、多分誕生日! はい正解! 本当は正解しちゃダメなやつ!!
でも、自分が単純な人間で良かったとつくづく思う。
じゃなかったらきっとこの時点で躓いて泣いてる。
表示されるのはたくさんのアプリたち。
使い方、何となくだけれど指先が覚えているようだ。
300件近い未読メール……、まあ、これはほぼショップなどのお知らせメールしかないから置いておく。
次に友達とやり取りしているメッセージアプリだ。
なんだ、普通に立ち上がる、立ち上がったけれども。
中身が無くなっていた。
トーク一覧にグループフォルダや、やり取りしていた人たちは残っているようだけれども、それを押しても中身がない。
一番上にあるアイコンは狐のお面アイコン、名前はシュンペー。
ずっとメッセージ送ってくれていたのだろうか?
その下にはアキちゃんとフユちゃんのグループフォルダ。
それから多分クラスメートたちのアイコンがズラッと並んでいて。
これはきっと皆心配してくれていたんだ、と泣きそうになってしまった。
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