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どうか写真だけでも残っていますように、と祈るような気持ちでアルバムを開けると。
最新の写真からズラズラズラッと表示された、それは、あの日。
事故にあう少し前の。
夜空に輝く打ち上げ花火。
今にも笛の音が聞こえてきそうなお祭り屋台。
金魚すくいにりんご飴、それからヨーヨー、綿あめ。
イカ焼きの煙と青い虫よけライトにバチバチと群がっては落ちる音。
赤と白の提灯が神社を照らし出し、たくさんの人の中を離れてしまわないように、転ばないようにと差し出してくれた大きな手を私は握った。
「靴履いてくれば良かったのに」
足の指に食い込む鼻緒が痛いと嘆く私に、目を細めて笑うから。
「浴衣に靴なんかかっこ悪いもん」
むうっと唇尖らしたら、よしよしと子供のように撫でられた。
「リンタロー花火バックにして写真撮ろうぜ?」
見晴らしのいい丘で連写ショットにして一番大きな花火が上がった瞬間。
アイツが私の顔を覗き込む。
それで、えっと。
「わぁぁぁぁぁああああああっ!!」
布団の中に自分のスマホを隠すようにしてから、もう一度出して。
やっぱり直視できなくて、また悲鳴あげて、を繰り返してから。
深呼吸してもう一度だけそれを見てやっぱりまた、ひゃあって変な声をあげた。
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