47人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
う~ん、道は覚えてる、だと?
そうだ、朝は車でここまで送ってきてもらったんだった。
校門まで出たところで立ち止まって左右を見渡す、どっちだっけな?
どっちだったろうか?
「あっち」
後ろからかかる声に振り向くとシュンペーがいた。
「あっち?」
シュンペーが右を指さすから、「ありがとう」と歩き出そうとしたのに。
「嘘だって、こっち!」
おいおい、マジかよ、と私の腕を引き、止められた。
「シュンペー、私の家知ってるの?」
「知ってる、だから送ってく」
「いいの? すっごく助かる。帰り道、覚えてなかったみたい」
あははと笑った私に。
「全然笑えねえから」
と少し唇尖らせて怒っているような顔をして前を向き歩き出す。
「まずな、校門出たら左、んで2つ目の交差点を右に曲がる」
うんうん言いながら考えていると。
「スマホにメモすりゃいいじゃん」
「あー……」
苦笑いをした私に首を傾げる。
「スマホも事故にあったので今入院中」
「は?! だからか!!」
「うん?」
「っ、何でもねえわ、……いつ退院してくる予定よ?」
「多分、早ければ今日あたりかな、今までの全部のデータが修復できるのかはわからないけれど、って」
きっとスマホには過去の私の大切な写真や友達とのやり取り何かも入っているはず。
それを見たら少しは思い出せるんじゃないかな、って気がするのに。
最初のコメントを投稿しよう!