たいせつなこと

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「んな顔すんな、全部お前のデータが消えていたとしても、俺が持ってるお前の写真やる。それにアキやフユもたくさん持ってるはずだから、それ貰えばいいだろ?」  まるで今の私の不安を見越したかのようなシュンペーの言葉にビックリして足を止めると。 「なに?」  気付いたシュンペーも振り返り私を見下ろす。 「ううん、ありがとう。すっごく助かる」 「別に、リンタローの写真があるからやるって言ってるだけだし」 「ねえ、私とシュンペーって」 「ああっ?!」  突然シュンペーの声が裏返り大きくなったのでビックリしたら。 「あ? 何?」    と妙な咳ばらいをして声のトーンを戻し私の話の先を急かす。 「うん、私とシュンペーって一緒に写真撮ったりするくらい仲良かったんだね」 「……デスネ」  そっか、仲良かったから、なんだ。   「ごめんね、忘れちゃって」  歩き始めたシュンペーの横顔が寂しそうに見えるのは、仲良かったはずの私に忘れられたっていうことか。 「ったくな、……思い出すかどうか、まだわかんねえんだよな?」 「うん……」  困ったな、って苦笑したら。  シュンペーが私の頭に手を伸ばして、止めた。 「メロンネット邪魔くせえ」  苦笑いして私を見下ろして目を細めた。 「思い出したくなったら周りに聞け? 俺でもいいし、友達にでもいいし。お前の好きなものも大事にしてたものも俺は全部言える。だから不安になんかなるな」  な? と、笑ってまた私の頭に手を伸ばしかけたシュンペーがまたメロンネットに手を止める。   「なんか、今、ね?」 「うん?」  ううん、何でもない、と首を振って。 「シュンペーと仲良くて助かったね、私」 「……、だな」  ほら、その顔だよ。  シュンペーが目を細めて笑う、その顔!  その度にキラキラした何かが目の中に浮かぶ、何だっけ?  頭の中の(もや)がムカつくやら悔しいやら。  これは絶対に私の記憶の中の何かなはず!  !!
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