たいせつなこと

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 キーワードは。  学校に行ったら刺激があって何か思い出せるかもしれない、と笑って誤魔化した医者が言っていたけれど。  あながち嘘でもなかったようだ。  共働きの両親はまだ家に帰って来てはおらず、兄もバイトなのだろう、夜は遅いかもと出掛けて行ったっけ。  テレビをつけたらCMにシュンペーが映った。  こっちのシュンペーは面白いけれど、サヤマ シュンペーの方がかっこいいな、なんて頭を過ったものを振り払う。  何だっけ、な?  キラキラ、赤や白の幻影や、ほら、えっと。 「足の指の痛み!!」  思い出したのはそれ、ヒリヒリと痛んだ足の指。  靴下を脱ぎ捨てて自分の足の指を確認したら、ほとんど治りかけているかすり傷のようなもの。 「事故のかなあ?」    そういえばお風呂入る度にヒリヒリしてたの、これだったんだ、とあらためて見ると。  左右の親指人差指の間に擦れたような創痕(キズアト)。  玄関に戻ってシューズボックスを開けると、そこにあったのは私の下駄。  履いてみたらちょうどピッタリに傷にあたる。    あの日、私浴衣着てた、そういえば!!  何かあったっけ? あった!!  キラキラで、赤や白の灯や、足の痛みや、甘い何かやパァンッって光って、それから笑って。  ピインポオオオオオン。  気の抜けたインターホンに思い出しかけていた何かが消えていく、ああ、もう、後ちょっとなのに!!  下駄を履いたままドアスコープを覗くと宅急便の人が小さな箱を持っている。  もしかして?!  (はや)る心を落ち着かせながら私はドアを開けた。
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