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ワタシは宇宙人 「時を告げる訪問者」 #02
2005年、7月。
これから本格的な夏がくるという季節だ。
その日はわたしはいつもと変わらずに、机に向かって仕事をしていた。
"すると唐突にわたしの頭の中に電気が走ったのだ。"
それは頭の頂点から入って後頭部の部分をトンと殴られたような、とても変な感じだった。
そしてその瞬間に察した。
"あ、、時代が変わった。"
何の根拠もないが「そうなんだ」と確信する感覚だった。つまり直感というものだろう。
それはとても不思議な感覚だった。まるで、自分の中に眠っていたもう一人の自分が目を覚ましたような、いや、誰かが直接わたしの頭に信号を送ってくるような感覚だった。
そして「時代が変わった」と感じると同時にわたしの全身には鳥肌が走った。
遠く忘れ去られた古い遺伝子の記憶を、まるで身体の細胞の一つひとつが思い出す感覚に襲われた。
手も足も震えた。恐怖に震えていたのか、武者震いに震えていたのか、その時のわたしは全く分からなかった。
それから1週間もすると「あの時の不思議な感覚は考えても分からない」のでもう良いやと気に留めていなかった。
その頃、わたし達家族7人は築150年の古い家を取り壊し、新しく家を建てて住んでいた。
ある日の朝のことである。
わたし達が2階で寝ていると、窓のガラスを
"コンコン"
と叩くモノがいた。
何度も何度も
"コンコン、コンコン"
とガラスを叩く。
外は夜が明けて間もない事がわかる。時計を見ると5時を過ぎたばかりだ。
"一体何事だ?"
と思い、カーテンを開ける。
すると
"カァー、カァー、"
と言って、くちばしでガラスを叩く一羽のカラスがいた。
"え?カラス?"
"なんで?"
そう不思議に思っているうちに、カラスは飛び去って行った。
その次の日も、またその次の日も、カラスは毎日朝5時を過ぎると
"コンコン、カァー、カァー"
と呼びにくる。
決まっていつもわたしがカーテンを開けると、目が合って
"カァー、カァー"
と2つ鳴いて飛んで行く。この繰り返しだった。
カラスとはとても不思議な生き物だ。目が合うと変な気持ちになる。とても人間に近い生き物のような気がして仕方がない。「考え」を持っているような、カラスとはそんな生き物だ。
毎回、カラスはわたしが起きてカーテンを開ける前までガラスを叩き続けたが、あんなに朝っぱらからうるさい中、夫も子どもも誰も目を覚まさないのだ。
しばらくカラスは、眠っているわたしを起こしにガラスを叩いた。
わたしは家族に
"毎日、カラスがガラスを叩くの!"
と言ったら
"はい、はい。面白いダジャレですね"
と言って誰も本気にしなかった。
何日続いたか、いつの間にかカラスはやって来なくなった。
とにかく不思議で仕方なかった。カラスと会話ができたらなぁ、と本気で思った出来事だった。
今でも信じ難い出来事だとは思うが、あれから15年経った今だから分かる事がある。
カラスは天狗の使いで、天狗とは猿田彦神(さるたひこのかみ)という神さまでもあるのだ。猿田彦神は天孫降臨を先導した神さまで、道先案内の神さまだ。
わたしは何年も経ってからだが「あの時カラスは時を告げに来てくれていたのだ」と分かった。
なぜなら、その事を節目にわたしには信じ難い事が嫌になるほど起きるようになったからだ。
そう、わたしは2005年を境に人生が大きく変わって行ったのだ。
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