俺様は。。。

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橋本杏に至っては、実質、俺が初めて付き合った相手だったらしく、最初は何でもかんでも、ほぼ俺の言う通りだった。俺がいろいろ教えてやったんだぜ。何か、支配欲というか万能感みたいなものまで、味わうことが出来たこともあった。これも束の間だったけど。 教えてやるどころか、ただ杏が何も言わなかっただけで、実はアイツの方がいろいろ頭よかったんだなって、後から分かったんだけど。 教えてやってるという上からの気分になってたけど。 杏がただ俺をたてて、そうゆう風に振舞っていただけだったことも、あの当時の俺は分からなくて。 就活の時なんか、杏が次々内定をもらってきて、俺の方は片っ端から「これからの益々のご活躍を~」のお祈りメールばかり。実力の違いを思い知らされているようで、自分が惨めで仕様がなかった。 採用する側にいた結愛からすると、俺と杏では仕事に対する姿勢が違いすぎるって言われる始末だった。あの時は、そこまで言う必要あるかって思ったけど。 まぁ、そうは言っても、三上さんと杏が付き合うきっかけを作ったのは、やっぱり俺だし。 俺がハニートラップに引っかかったのはご愛敬で。 あの時、三上さんに杏を通してでも情報漏洩を釈明する機会がもらえたのは大きかった。あれが無かったら、俺、今頃、社会人さえやってなかったかもしれないし、今のポジション、課長なんて、まずなってないし。 あれ以来、三上さんから何かと話しかけられるようになって、それがきっかけっていう訳じゃないだろうけど、仕事にも弾みがついたような気がする。 その時は三上さんが杏のことをそんなに想ってるなんて、わかってなかったんだけど。 杏が離婚して帰国していたのを知るや、三上さんの行動は早かったと思う。 杏は三上さんに対して、かなり引き気味だったのは分かっていたから、正直、どうなるのかって気をもんだりもしたけど。 あのエキシビションのスタッフをしていた杏は、正直ちょっとお疲れ気味だったし、俺からすれば彼女を魅力的というには難しく、再度付き合いたいと思う対象からは外れていて。苦労したんだろうなっていうのは、伝わってきたけど。俺は、凜をどうにかしてあげたいっていうような優しい気持ちにはならなかった。 それに、杏も俺とコンタクトを取るのを嫌がっていたのが丸わかりだったし。 あの時の俺様の周りには、もっと若くてかわいい子がいたからね。
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