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「でも彼女たちにとってはさ、山崎基準だったら、今付き合ってる男性がすっごくよく見えたりするんじゃない?」
何だよそれ。
悔しいけど、結愛にしても、杏にしても、俺と付き合ってた時よりも絶対、キレイになってるんだよな。
相手を見る眼差しも俺の時とは全然違うような気がするし。
なんとなく、お互いの存在価値を認め合っているって感じが気に食わないのだけど。
それに結愛と俺が付き合っていたことを知ってから、気のせいか、城嶋さんの俺への当たりが強くなっているような気がする。
それまでは、普通に人当りのいい博愛主義的な、俺と同じ、コミュ力の高い人っていう評価だったのに、最近になって、結構厳しめのアイロニーを含んだ冷笑をされることが増えたのは気のせいか。
原因は分かってる。結愛は言わないでいたのに、俺が会社の飲み会で調子に乗って、あることないこと、リークしたのがいけなかったんだとは分かってる。
「前、付き合ってた彼女、結構、いい女で上玉だったんですよ。肩甲骨のくぼみの所にホクロが縦に2つあって。。。」
この一言が命取りだったんだと思う。その時の俺、元カノの名前は出さなかったけど、結愛のことを得意げに話してしまっていたから。
それから間もなく、結愛から珍しく電話があった。
「何を言ったの?」
彼女のあんな凄みのある声を聞いたのは、あれが後にも先にもっていうか、最後であってほしい。
そう、彼女の中で、俺の存在=”ALL DELETE"が決定した瞬間だったんだと思う。
この前、開催された城嶋さんと結愛の結婚式。
会社の人たちが結構な人数で招待される中、俺はもちろん招かれなかった。
多分、仕事もよっぽど頑張らないと、今の課長止まりっていう可能性もあるんじゃないかと、最近本気で心配になってくる。
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