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気がつけば、朝になっていた。
何だかリアルな夢だった。
小学生の頃の家庭環境等は、記憶の通りで、今思い出しても鳥肌が立つ。
しかし、私には身に覚えもない出来事。
出てきた場所も、あの惨めな出来事も。
あの男の人も。
私の記憶には、存在しない。
だから、私には関係の無い事。そもそもただの夢。作り物の世界だ。きっと、最近見た本やドラマに感化された物なのだ。
「あ…れ?」
なのに、目から溢れる物がある。
温かい雫が、ぽたぽたと零れ落ちる。
「あれ…何で。何でよ…。」
これは私じゃない。
泣いているのは…泣いているのは…。
「私じゃん…。馬鹿。」
意味も無い涙を流しながら、私は頭まで布団を被る。
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