私の知らない涙

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紗知:13歳 流石に骨にヒビでも、入ったのかもしれない。今まで感じた事のない、鈍い痛み。足の骨の奥から、ハンマーで叩かれたようだ。 私は、この足で帰る事が出来るのか。 痛くない。痛くない。 寒くない。寒くない。 これは私じゃない。 痛いのは、私じゃない。 寒いのも、私じゃない。 私は何も感じない。 何も無い私は、何も感じたりしない。 だけど、その後に寒いのが少し消えて、ふわりと体が浮いた。 薄目を開ければ、灰色の空。 そして大きな男の人が、私を抱えていた。 綺麗な顔をした、男の人。 目の色が異様に黒い。偽物のような、目玉をしているなと思ったところで、また気絶した。
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