私の知らない涙

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紗知:14歳 男の人は、アキ。私と3つしか歳が変わらないのだ。意外だった。 私に同情したのか、面白半分か、家に住まわせてくれた。温かいご飯やお風呂も、清潔な服もベッドも久しぶり。勉強も教えてくれたし、護身術を覚えさせようと、道場に通わせてくれた。 でも、私なんかを拾うなんて、余程の物好きで、暇人なのね。 だって、私には何も無いもの。 いくら私に与えてくれても、私は何も返す事が出来ない。 だからせめて、役に立ちたかった。 勉強も、運動も、護身術も。 私なりに頑張ったの。 貴方は隠しているつもりなのだろうけれど、私は貴方の事を知っていたの。名前を聞いた時に、すぐにはっとした。 貴方がこの街で、どんなに冷酷で非道と言われているのか。今まで何をしてきたのか。 知っても尚、貴方と一緒にいたかった。 私を助けてくれた人だから。 どんな人でも構わない。一緒にいさせて欲しい。 そう思っていたの。
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