私の知らない涙

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紗知:15歳 「はぁ…はぁ!……ぁ。」 「ああハハハハハ!ゲホッ…グッ…ひひ。紗知、何驚いてやがる?」 アキがいる。壁にもたれるように、座っていた。 頭からはだらだらと、血を流している。 止まることない、赤い液体。 流させたのは…。 頭が冷える。握っていた、血のついた木刀が、乾いた音をたてて落ちた。 これは私じゃない。 これは私じゃない。 やったのは私じゃない。 いつものように、念じた。 いつもよりも力一杯念じた。 それを、高圧的な声が妨げる。 「自分の状況から…逃げるつもりか?」  アキの目が鋭い。あの大嫌いな、偽物の目から、視線が反らせない。アキは尚も、私に語りかける。 「逃げるな。これは、お前がやった事だ。いつまでも、そうやって逃げようとするな。自分を殺すような事するな。」 駄目だ。念じる事が出来ない。 上手く出来ない。 嫌だ。 「何でこんな事したか、教えてくれ紗知。」 嫌嫌嫌嫌!!! こんな現実受け入れたくないのに!!! お願い、逃げさせて!!
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