私の知らない涙

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私は彼の役に立ちたかっただけ。彼に、恩を返したかっただけ。 彼の1番に、なりたかっただけなのに。 何故こうも、裏切られなくてはいけないの。 何故こうも、腹が立つの。 まさか。 私はこいつを愛していたの? 愛していた、は違う。 今も愛している。 こんな女で遊び、他者を痛めつける奴でも。これから、手酷く扱われるようになったとしても。私は愛しているのだ。 だが、彼は違う。 彼は私ではなく、自分に似た者を好きなだけだ。自分よりも、惨めな存在を愛していただけだ。私自身を見てはいない。 だからこそ、この関係を終わらせなくては。 愛しているからこそ、離れなくては。 彼の為にも、自分の為にも。なら、彼に嫌って貰えるようにしないとね。 「あんたには、もう幻滅した。2度と会わないから。」 そう捨て台詞を吐いて、アキの元を走り去った。 田舎の空だというのに、星1つ見えない、暗闇だった。
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