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正義、とは豊臣秀吉その人のことである。
少なくとも三成はそう考えていた。
三成にとって、秀吉の作った法が全てであり、秀吉の作った体制が全てであり、秀吉の作った国が全てであった。
だが、秀吉は死んでいる
その亡霊をいつまでも追い続けようとしているのが三成という男だった。
「正義とは何でしょうねえ」
宇喜多秀家がいった。三成より随分若いが、身分は同等である。
「笑止。太閤様の意思に決まっておろう」
太閤の意思。確かに秀吉の作った基盤が三成の行動原理になっている。
しかし、秀吉の思想を汲んでいるとは言えないかもしれない。
「私も太閤様の恩は受けました。報いねばならん。しかし、鳥居彦右衛門も対した男ですね。この兵力差でも一切退く様子を見せんとは、まことにあっぱれ」
宇喜多秀家は満足そうに頷いている。余裕の表情だった。1万7000の大軍を持っており西軍の主砲の一つである。
だが、この宇喜多秀家が最高の戦力ではない。
西軍には天下無双の男が参戦する予定だった。
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