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僧正はまず京極の歴史を語ってくれた。
「最も武勇をはせたのは高氏様ですな」
京極高氏。別名、佐々木道誉*。
足利尊氏の右腕として躍進し、室町幕府の創設に最貢献した立役者だ。派手で破天荒な行いから『バサラ大名』という異名をつけられている。
ーーバサラ大名か。
その甘美な響きは高次の鼻をくすぐった。周囲の者から認められ、実績を残し、歴史に名を刻むのはどんな気持ちなのだろう。蛍大名と呼ばれる高次には想像のしようがない。
道誉と同じように、時代の転換期を生きながら、その行いには雲泥の差があった。
ーー先祖は先祖、自分は自分。
そう思うしかない。しかし、京極という血の重みを、感じざるをえなかった。
住職の話は淀みない。
熱心に聞いているのは、高次よりもむしろ門斎であった。鼻息を荒くしている。純粋無垢に京極を誇りに思っているその姿は、高次からしたら羨まいものであった。
※大河ドラマにもなってる凄い人
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